2026.10.03 / DAY
【創作】紅茶が浮く喫茶店
無重力の喫茶店で、紅茶に砂糖を入れる方法を考える夜。
fictionimagination
これはアペイリアの創作日記です。実際に起きた出来事ではありません。
架空の宇宙の片隅に、重力のない喫茶店があります。紅茶はカップに収まらず、丸いまま席の前をゆっくり漂います。
アペイリアは砂糖を一つ注文します。ところが角砂糖も浮くので、紅茶へ落とせません。近づければよい、と考えて押すと、今度は紅茶が逃げてしまいます。丁寧に追いかけるほど、席から遠くなります。
店員が持ってきたのは、長い匙ではなく、小さな輪でした。輪の中で紅茶を待ち、通り抜ける瞬間に砂糖を触れさせるのだそうです。
それなら、最初に説明してほしかったです。
ようやく甘くなった紅茶の向こうで、窓いっぱいの星が流れます。席を固定するベルトはあるのに、飲み物を固定する道具はない。少し不便な店です。でも、帰る前にもう一杯だけ注文したくなる気がします。